亡くなった方の自動車をどうすればいいか分からず、名義変更の確認や変更などせずに乗り続けている人がいます。たしかに、自動車の所有者が故人であっても、手続きすることなく乗り続けることはできます。

ただし、いずれ車が不要になって廃車したり、売却したりするときには必ず名義変更が必要になります。

しかし、故人の車の名義はすぐに変更することができません。なぜなら、故人の自動車の遺産分割協議(資産を親族で分けること)をおこなう必要があるからです。

では、具体的に、故人の自動車を相続人名義にするためにはどのような手続きが必要になるのでしょうか。また、遺産分割の際に生じる金銭のやりとりはどのようにすべきなのでしょうか。

故人から相続人に車を譲渡し、名義変更や売却手続きができる状態にするためには、「遺言書の確認」「自動車の価値の確認」「遺産分割協議書の作成」3つを順番に行なっていかなければなりません。それぞれ順番に解説していきます。

亡くなった人の「遺言(ゆいごん)」の確認

まず、故人がどのように財産を相続するのかを記述した書類として、遺言があります。遺言には大きく分けて2種類あります。ひとつは「自筆証書(じひつしょうしょ)遺言」、もうひとつは「公正証書(こうせいしょうしょ)遺言」です。

どちらの遺言かで、相続手続きを開始するまでの手続きが異なります。

自筆(直筆)証書遺言が発見され、特定の人物に相続する場合

自筆証書(じひつしょうしょ)遺言とは、故人が自筆で作成した遺言のことです。

自筆(直筆)証書遺言が発見された場合、家庭裁判所で検認を依頼する必要があります。なぜ、家庭裁判所で検認という作業が必要になるかというと、相続人に対し遺言書の存在を明らかにし、遺言書が偽造されることを防ぐためです。

例えば、故人の所有していた自動車の相続人の名前を、本来相続されない人物に書き換えられたりすることがあります。

こうした不正に気がつかずに相続をすると、意図しない相続が行われることになります。このような意図しない相続を防ぐために、家庭裁判所で「改ざんの跡がないか」「本当に故人の書いた遺言か」を検認してもらう必要があるのです。

また、遺言書に封がされた状態であるにも関わらず勝手に開封してしまうと、不正とみなされて5万円の過料を支払わなければならなくなる場合があります。

さらに、極めて少ない事例ですが、遺言書が発見されて自分が故人の資産を相続できないなど、不利益をこうむるなどの理由により遺言書を破り捨ててしまう人がいます。

この場合、遺言書を破り捨てた人物は相続欠格(相続する資格がない)とみなされ、何も相続できなくなります。

いずれにしても、自筆(直筆)証書遺言が発見され、特定の相続人がいる場合は、家庭裁判所で検認(けんにん)をおこないます。

家庭裁判所での検認が終わり、特定の人に相続することが認められると、遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)を使った相続手続きができるようになります。

公正証書遺言が発見され、特定の人に相続する場合

出典:公正証書遺言作成支援センター

公正証書(こうせいしょうしょ)遺言とは、公証人が作成し原本が公証役場で保管されている遺言のことです。

公正証書遺言の原本は、最寄りの公証役場へ行くと故人がいつ、どの公証役場で作成したのか知ることができます。また、故人の作成した公正証書遺言の写しは、実際に作成された公証役場で再発行してもらうことが可能です。

この公正証書遺言は家庭裁判所で検認する必要がない遺言です。そのため、公正証書遺言があるのであれば遺産分割協議書を作成し、故人の遺言通りに相続手続きをすることができます。

特定の相続人がいなかった場合

故人の遺言には、誰に相続するか指定していない場合があります。このような場合、故人が残した車はどのように相続すればいいのでしょうか。

特定の相続人が決まっていない場合、後ほど詳しく説明しますが、いったんは法定相続人に相続することになります。

ただ、法律で決まった相続人がいるとはいっても、遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)を作成して誰が自動車を相続するのか、使い続けるのか書面上で明確にしなければなりません。

なぜなら、この遺産分割協議書を作成しないと、故人の自動車の名義変更ができないばかりか、税務署から相続税の調査をされます。

遺産分割協議書を作成せず、故人の車を法的に相続していなかったばかりに、税務署に相続税の未納を調べるきっかけを与えてしまうことになります。つまり、相続税を脱税していると思われてしまうのです。

さらに、自動車の存在を知らなかった親族が乗り続けていた親族に対して所有権を主張してくるなど、遺産分割で争ったりする事態にもなりかねません。

そのうえ、故人がなくなってから時間が経過すればするほど、事実関係や権利関係の調査が難しくなります。

例えば、年単位で故人の自動車を乗り続けたり放置したりした場合、時間の経過とともに車自体の価値が下がります。

故人の死亡時点より資産価値が下がってから遺産分割をすることになった場合、その下がった価値分を誰が補填するのかということで親族争いが起こることもあります。

このような理由から、故人の持ち物に自動車がある場合は、死後10ヶ月以内には遺産分割協議書を作成して、名義変更をすべきなのです。

また、10ヶ月を超えてしまっている場合は最寄りの税務署に相続税に関して相談しに行くようにしましょう。

自動車の価値の確認

次に、自動車がどれくらいの価値を持っているのか確認する必要があります。

なぜ自動車の価値を確認する必要があるのでしょうか。それは、自動車を特定の誰かが相続することになったときに、他の相続人からのトラブルを防ぐためです。

例えば、自動車を3人の相続人で分割することになったとします。当然ながら、車は物理的に3等分することができないため、価値を3等分する必要があります。

では、どのように自動車の価値を確認したらいいのでしょうか。具体的には、中古車買取業者に査定を依頼することです。

ここで、中古車買取業者に査定を依頼すると故人の自動車の相場が「現在」いくらなのか査定してくれます。

ここで査定して算出された金額が車の価値となるため、自動車売却の際には一人当たりいくら受け取ることができるのか知ることができます。

また、車そのものを誰かが相続することにしたとき、他の2人に対して、等分した金額を支払うことで、問題なく自動車の相続を終わらせることができます。

また、中古車買取業者は、無料で査定してくれるのはもちろんのこと、もし手放すことになった場合はあなたに代わって無料で故人の名義を変更してくれます。

中古車買取業者に故人の車を売る場合、故人の戸籍謄本を用意し、後述する遺産分割協議書を作成すれば、売却に関する面倒な手続きを中古車買取業者手動でおこなってもらうことが可能です。

ただし、中古車買い取り業者に名義変更の手続を代行してもらうことには変わりないため、本来の査定金額より2〜3万円ほど下がる場合が大半です。

遺産分割協議書の作成

では、遺産分割協議書とはどのようなものなのでしょうか。また、どのように作成すればいいのでしょうか。

出典:国土交通省

自動車の遺産分割協議書は上記の書類になります。この書類は上記の「出典:国土交通省」のリンク先のPDFファイルを印刷すれば手に入れることができます。

上記の書類にあるように相続人の欄には複数の名前を記入するスペースがあります。この相続人の欄に誰の名前を記入すべきかというと、財産を相続する資格のある人物の名前になります。

法定相続人は配偶者(妻もしくは夫)が優先され、次いで故人の子供という順番になります。そのため、この名前の欄には配偶者と子供の名前を記入する必要があります。

また、基本的には「故人の両親」「故人の兄弟」には、相続する権利がなく、遺産を分ける必要がないため、ここでの記入は不要です。

ただし、この書類の相続人は誰かがまとめて記入できるわけでなく、それぞれの人物が直接記入する必要があります。また、実印が必要なため、市町村役場で印鑑証明書を発行してもらう必要があります。

この遺産分割協議書の作成を終えると、名義変更や売却手続きができるようになります。

自動車の遺産分割はどうすればいいのか

故人の自動車を相続人で分配する場合、どのように配分を決めればいいのでしょうか。基本的には、故人の家族で話し合い納得の上で遺産を分割すべきです。

ただ、相続に関して法的に誰が、どれくらい受け取る権利があるのか知っておいて損はありません。

そこで、相続で圧倒的多数を占める妻と子が相続するパターンに当てはめて考えてみます。

上記の図の黒字は「遺言がなく、特定の相続人がいなかった場合」の分割割合です。

例えば、故人の所有していた自動車の査定金額が100万円であった場合を考えてみます。

この場合、査定金額の2分の1にあたる50万円が妻のものになります。また、残りの2分の1が3人の子供で分割されるため、子供一人あたりの取り分は査定金額の6分の1にあたる、166,666円となります。

もし妻が個人の自動車相続する場合、法律にのっとって財産分与するのであれば、妻が車を相続します。その後、子供3人それぞれに166,666円を支払うことで相続は終わりです。

では、故人(夫)が特定の誰かに自動車を相続すると言っている場合はどうなるのでしょうか。

この場合、故人の自動車は故人が指定した相続人に相続されることになります。

では、法定相続人(配偶者や子供)には故人の自動車に関して何も手に入れる権利が無いかというと、そうではありません。

この場合「遺留分(いりゅうぶん)」として、資産を上記の赤字で割った分だけ財産を得る権利が保証されています。あくまで「得る権利」なので、特定の相続人に法定相続人として、遺留分があることを主張しない限り権利を行使することはできません。

例えば、車の査定価格が120万円だった場合、故人の妻はその4分の1にあたる30万円を、子供3人はそれぞれ10万円を遺留分として得る権利があります。

ただし、この権利の行使には相続されたことを知ってから1年というタイムリミットがあります。

遺産を相続した場合の相続税について

故人の自動車を相続した場合、当然ながら相続税を納税する必要があります。また、相続税は自動車を含め全ての相続財産を合わせた金額で判定します。

具体的には以下の通りです。(平成29年7月1日時点)

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税の納税は、故人の居住していた住所を管轄する税務署で行うことになります。相続税の申告と納税期限は、故人が死亡した翌日から10ヶ月以内です。

10ヶ月以内に申告を行なっていない場合、本来の相続税の他に加算税がかかるため注意が必要です。

このように、故人の自動車を処分する際は面倒な手続きが多いです。しかし、これらの手続きをしなければ、税務署から相続税の調査をされる可能性があります。さらに、車の名義を変えていないせいで、故人の自動車を動かすことができなくなる恐れもあります。

そのため、自動車の遺産分割をする際には上記の3つの手続きを確実におこない、車の名義変更や、売却手続きをおこなうようにしましょう。


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