カタログの燃費を見て、「この燃費って、自分が乗っても出せる燃費なのかな?」と感じることありませんか。
実は、日本の自動車のカタログ燃費(カタログに載っている燃費)は、実際の使用場面とは違う環境で計測されています。
たとえば、ライトはもちろん、エアコンもカーステレオも使用しません。さらに、後続車にクラクションを鳴らされ、追い越されかねないほどゆっくり加速して得られた燃費です。
さらに、テストをするドライバーは一般人ではなく、最高の燃費数値を出すことに特化したプロのドライバーです。
そのため、道路状況に応じて臨機応変な運転が求められる私たちには、カタログ燃費は当てになりません。これは、ハイブリッドカーの燃費ほど顕著になります。
「カタログ燃費があてにならないのなら、どこかに信用できる情報はないのか」と考えますよね。
この記事では、あなたが購入検討している車のリアルな燃費の知り方を解説していきます。
さらに、国産車だけでなく、外車(輸入車)のリアルな燃費の知り方まで実例をふまえながら解説していきます。
実際の燃費を知り、年間どれくらいのガソリン代がかかるのか知ったうえで、車の購入に役立てるようにしましょう。
リアルな燃費情報を知る方法
まず、リアルな燃費情報を知るためには次の2つ方法が有効なことを知っておきましょう。
- 実際に車に乗っているユーザーが申告している燃費を知る
- 実際の使用を想定した燃費試験の結果を知る
1つ目の方法でオススメなのは、国内の燃費投稿サイトで確認する方法です。
2つ目の方法でオススメなのは、米国エネルギー庁の燃費情報を知る方法です。
それぞれ、詳しく説明していきます。
国内の燃費投稿サイトで燃費情報を知る
1つ目の方法でオススメなのは、こちらの「燃費投稿サイト」の燃費情報を知ることです。
たとえば、日本国内には「e燃費」というユーザー投稿型の実燃費を知るサイトがあります。
出典:e燃費
このサイトでは、カタログ燃費だけなく、実際にユーザーが車に乗って得られた燃費記録が蓄積されています。
国産車に関しては投稿件数も多く、同車種にのべ数万件ものリアルな燃費情報が掲載されているものもあります。そのため、国産車の燃費情報を知る上では信憑性も高くオススメです。
ただ、燃費情報は投稿件数に依存するため、日本国内で乗られていない外車(輸入車)や、中古の絶版車などを検討する場合、投稿件数自体が少ないため参考になりません。
では、そのような場合はどうすればいいのでしょうか。
米国政府が発表している燃費情報から知る
2つ目の方法でオススメなのが、このアメリカ合衆国政府が発表している燃費情報を知る方法です。
英語のできない方でも使い方を解説していきますので、ご安心ください。
アメリカ合衆国エネルギー省が公式に運営している、「fueleconomy.gov」というサイトで、リアルな燃費情報を知ることができます。
では、燃費の調べ方を解説していきます。
まずは、上記の「fueleconomy.gov」のサイトへアクセスしてください。すると、次のような画面が現れます。
下の写真の四角赤丸の「Compare Side-by-Side」というところをクリックしましょう。
次に、下のような画面に切り替わります。
この画面で、赤い表示枠にある選択肢を埋めていきます。なお、ここに表示されている英語は次のような意味です。
表示名(英語) | 意味 |
---|---|
Select Year | 車の製造年 |
Select Make | 自動車会社名(メーカー) |
Select Model | 車種 |
Select Options | オプション(AT, MT, 排気量など) |
ここで車種や製造年などを選択して、青丸の「Compare(比較)」ボタンを押します。
すると、下の画面のようになります。
この赤い表示枠内の数字が燃費になります。
今回はHonda HR-V(ヴェゼルの姉妹車)とMazda CX-3の2車種を一緒に調べました。このように複数車種を選択すれば、燃費比較することもできます。
たとえば、HR-Vの赤い表示枠に書かれている数字には以下の意味があります。
- Combined city/highway (一般・高速道路併用走行):32MPG
- city(一般道走行):28MPG
- high way(高速走行):34MPG
ただし、ここに表示されているMPGという単位は日本の燃費表示単位と違い、1ガロンで走行できるマイル(走行距離単位)です。そのため、日本の燃費表示(km/L)に変換する必要があります。
以下の表は、MPGを日本の燃費表示に換算した場合の簡単な早見表です。詳細に計算したい場合は、「MPGの数値 × 0.425」で計算してください。
mpg(1ガロンあたりの走行距離) | km/L(1リットルあたりの走行距離) |
---|---|
1 mpg | 0.4km/L |
5 mpg | 2.1km/L |
10 mpg | 4.2km/L |
20 mpg | 8.5km/L |
30 mpg | 12.7km/L |
40 mpg | 17.0km/L |
50 mpg | 21.2km/L |
60 mpg | 25.5km/L |
つまり、HR-Vのアメリカ合衆国での燃費は次のようになります。
- 市街・高速道路併用:32MPG= 13.1km/L
- 一般道:28MPG = 11.9km/L
- 高速:34MPG = 14.4km/L
ただし、このサイトであなたの探している車種名が表示されないことがあります。
この場合、2つのパターンが考えられます。ひとつは、アメリカでは該当車種が販売されていない場合です。
もう一つは、日本で販売している車種名とアメリカで販売している車種名が違う場合です。たとえば、次の表は日本とアメリカで販売名が異なる車種の一例です。
日本での車種名 | 米国での車種名 |
---|---|
Vitz/ヴィッツ(トヨタ) | Yaris |
ハイラックスサーフ(トヨタ) | 4Runnner |
VEZEL/ヴェゼル(ホンダ) | HR-V |
XV(スバル) | Crosstrek |
TIIDA/ティーダ(日産) | Versa |
フェアレディZ(日産) | 370Z |
DEMIO/デミオ(マツダ) | MAZDA 2 |
AXELA/アクセラ(マツダ) | MAZDA 3 |
PREMACY/プレマシー(マツダ) | MAZDA 5 |
ATENZA/アテンザ(マツダ) | MAZDA 6 |
ロードスター(マツダ) | MX-5 |
ではアメリカのサイトは、なぜこれほどまでに実燃費に近い数値になっているのでしょうか。
日本とアメリカで燃費の表示が違う理由
日本では、カタログに表示されている燃費と実際に走行したときの燃費に違いがあっても、メーカーも消費者も「試験と実際の走行は違う」という事を認識しているため訴訟が起きるようなことはありません。
メーカーとしても、少しでも燃費表示が良いほうが、消費者に選んでもらう事ができるというメリットがあります。
また、消費者もこの燃費結果のおかげで減税を享受できるため、日本国内ではメーカーと消費者が得する表示方法でもあるのです。
一方、アメリカ合衆国という国は日本と違い、カタログの数値が違うと訴訟事件が起きます。
訴訟大国アメリカの恐ろしさ
日本とアメリカでこのように燃費表示が違うのは、アメリカではどのような理由であれ消費者視点での燃費を表示しないと訴訟事件になるからです。
たとえば、2012年にHONDAはハイブリッド車CIVIC(シッビック)の燃費が、カタログ燃費と大きくかけ離れていたことから訴訟が起きました。
出典:auto blog
訴訟を起こした女性は、2006年に発売されたシビック・ハイブリッドに乗っていました。
シビックの燃費が、広告ではガソリン1リットルで「21km」走行できると表示されていたにも関わらず、実際には広告どおりの燃費にはならなかったため、訴訟が起きたのです。
最終的には、HONDAは女性に対して9876ドル(約80万円)の損害賠償金を支払いました。
これが、一人ではなく何千、何万人もの人に支払わなければならない事態になれば経営で利益を生み出すどころか、賠償金の支払いだけで利益が無くなってしまいます。
このように、アメリカ合衆国ではカタログ燃費が実燃費に近くないと、訴訟を起こされてしまいます。
また、アメリカの裁判は「陪審制」がとられています。これは、ひとつの訴訟に対して、民間から選ばれた市民が訴訟内容について判決を下すというものです。
つまり、どんなに国の定めた計測方法で試験していようが、陪審員が「カタログ燃費と実燃費の数値がかけ離れているから、メーカーの悪意がある」と認めてしまえば、自動車メーカーが敗訴してしまいます。
そうなれば、苦労して得た利益が損害賠償金という形で失われます。
そのような事態にならないために、日本とアメリカでは燃費の表示内容が違います。
日本とアメリカ合衆国での「プリウス」の燃費比較
日本とアメリカで燃費表示に大きな違いがある車種があります。
それは日本国内で数々の燃費ランキング1位を記録しているトヨタのプリウスです。
出典:TOYOTA
ここまで説明したように、カタログ燃費と実燃費が違いすぎるとアメリカ合衆国では大問題になります。
では、日本とアメリカでプリウスの燃費表示がどのように違っているのか確認してみましょう。
まずは、次の表をご覧ください。
プリウスの世代 | 販売期間 | 型式 | 10-15モード | JC-08モード |
---|---|---|---|---|
初代(後期モデル) | 2001年〜2003年 | NHW11 | 28.0km〜31.0km/L | なし |
2代目 | 2004年〜2009年 | NHW20 | 30.0km〜35.5km/L | 29.6km/L |
3代目 | 2009年〜2015年 | ZVW30 | 35.5km〜38.0km/L | 30.4〜32.6km/L |
4代目 | 2015年〜 | ZVW50 | なし | 37.2km〜40.8km/L |
上記の表は日本国内でのプリウスのカタログに記載されてきた燃費です。
カタログに記載されている燃費は国土交通省が定めた正式な燃費試験で出た結果です。
そのため、Web広告や新聞、雑誌に堂々と載せることができます。
では、アメリカではプリウスの燃費はどのように表示されているのでしょうか。
プリウスの世代 | 北米での販売期間 | 型式(日本での形式) | EPA燃費(市街地走行) | EPA燃費(高速走行) | EPA燃費(市街地・高速併用) |
---|---|---|---|---|---|
初代 後期 | 2001年〜2003年 | NHW11 | 17.8km/L(42mpg) | 17.4km/L(41mpg) | 17.4km/L(41mpg) |
2代目 | 2004年〜2009年 | XW20(NHW20) | 20.4km/L(48mpg) | 19.1km/L(45mpg) | 19.5km/L(46mpg) |
3代目 | 2009年〜2015年 | XW30(ZVW30) | 21.6km/L(51mpg) | 20.4km/L(48mpg) | 21.2km/L(50mpg) |
4代目 | 2016年〜 | XW50(ZVW50) | 22.9km/L(54mpg) | 21.2km/L(50mpg) | 22.1km/L(52mpg) |
※mpgとは、1ガロン(約3.78L)で走行できるマイル距離数のこと
上記の表は、燃費比較でご紹介した、アメリカ合衆国のエネルギー省が公式に運営している「fuel economy.gov」をもとに作成しています。
日本では「JC-08モードの燃費試験」が実施されていますが、アメリカ合衆国では日本と違って、「EPA燃費試験」という試験が実施されています。
2つの試験の違いについては、JC-08モード試験は「現実的な道路走行とはかけ離れた燃費試験」、EPA燃費試験は「実際の走行に近い燃費試験」という認識で問題ありません。
実は、アメリカのトヨタのHPでも、このEPA燃費が表示されています。
出典:TOYOTA.com
上記の赤丸の部分が、プリウスの燃費を指しています。
なんと、米国トヨタの公式サイトで発表しているプリウスの燃費が、日本の公式サイトで発表している燃費とは大きく違っているのです。
実際、アメリカのホームページでのプリウスの燃費は、エアコンやカーステレオなどを付けたまま走行したときの燃費にかなり近いです。
このように、アメリカのほうが実際の使用に近い燃費表示となっているのです。
JC-08モードのカタログ燃費は参考までにするのが良い
日本の自動車がカタログに記載されている燃費は、「JC08モード燃費試験」で得られた結果にすぎません。
JC08モードの燃費は、実際の日本の道路事情・走行環境とはかけ離れた試験です。
たとえば、独立行政法人 自動車技術総合機構が発表している「燃料消費率試験(JC−08モード)」によると、以下のような内容の走行試験があります。
- 停止状態から時速77kmまで約40秒かけて加速
- 停止状態から時速60kmまで約30秒かけて加速
前者は高速道路の合流する場面、後者は一般道を走行するシーンを想定していると思われます。
時速60kmまで30秒かけて加速するというのは、日常の道路ではほとんどありえません。
実際には、この半分以下の時間で時速60kmに加速する必要があるシーンがほとんどでしょう。
たとえば、赤信号が青信号になって発進するときは前に車がいれば、その車についていきますよね。
また、後ろに車が続いて待っていれば、意識するかしないかに関わりなく、車が詰まらないように走る人が大半ではないでしょうか。
ゆっくり加速していると、後ろが渋滞するばかりか、クラクションを鳴らされたり、追い越しされたりするかもしれません。
さらに、JC-08モードの試験ではライトやカーナビ、オーディオ、エアコンなどの使用は考慮されていません。車を起動し、車を動かすのに必要最低限の電気だけしか使用されないのです。
実際の走行では、エアコンを使いますし、カーナビも使いますよね。これらの装備を使うとどうしても電気を使います。
ではその電気はどのようにして生み出しているかというと、エンジンを動かすと同時に、発電機(オルタネーター)も回して発電しているのです。
電気関係の部品を使えば、発電機でより多くの電気を発生させる必要があるため、エンジンを余分に回す必要があります。そうなれば、ガソリンの消費量が多くなるのです。
このように、実際の走行環境と試験環境が大きく違うため燃費が大きく違ってしまうのです。
そのため、あなたがこれから車を購入するのであれば、日本のカタログ燃費は参考程度にとどめるようにしましょう。
まとめ
日本とアメリカでは燃費に関する表示が大きく違うことを説明してきました。
もしこれから燃費のいい車を購入したいのであれば、この記事で紹介したサイトを利用してあなたの生活に合った車を見つけることが大切です。
そして、購入後も燃費に対して不満を抱かないような納得いく車を買うようにしましょう。
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